‘’ロボットにはホスピタリティが欠けている’’それって本当?

日本のサービス業においては、"おもてなし"や"人ならではの温かみ"といった点はロボットにはないんじゃないの?と、懸念事項として挙げられることもしばしばあります。
そこで今回のテーマは「ロボットとホスピタリティ」について一見相反するこのテーマについて、考察してみたいと思います。
ハイレベルな日本の"おもてなし文化"
お客様に快適に、そして気持ちよく過ごしていただくために"おもてなし"は、サービス業にとって非常に重要なものです。受付や案内、運搬や配膳など様々な業務の代替が可能なサービスロボットが近年続々と登場する中で、ロボットの普及がなかなか進まず、私たちの目に触れる機会が少ないのは、日本特有の"おもてなし"に対する考え方も一因だと考えられています。
ロボットにはロボットなりの"おもてなし"がある
基本的にAIやロボットは、空気を読んだり、言葉の機微を感じ取ったり、といった感情が必要な対応やコミュニケーションが苦手だと言われています。
これは弊社が展開するサービスロボットのLankyも例外ではなく、例えば「あの人、いつもより元気がなさそうな表情/声色をしているから、励ますようなことを言ってみよう」だとか「あの人は怒りやすい性格のようだから、刺激してしまう発言は控えよう」などといった対応はまだまだ難しいのが現状です。あくまで事前にプログラミングした動作/言動がベースとなるため、対応やコミュニケーションは、ある程度一定のものになってしまいます。
これを聞くと、やっぱりロボットにはホスピタリティが欠けている、と思う人がいるかもしれませんが、実は必ずしもそうだとは言い切れないのです。
ロボットには意外と愛嬌がある
ロボットによる応対は機械的で無機質なものだと思われがちですが、意外とそうではありません。GROOVE X 株式会社が展開するコンシューマ向けロボットのLOVOT[らぼっと]で考えてみましょう。LOVOT[らぼっと]は、ロボットでありながら、その見た目の愛くるしさや動きのかわいらしさから、ペットのような存在として多くの人に愛されています。
また、駅や空港、商業施設などで見かけることの多くなったロボットについても同様です。まだまだ実証実験的に設置されているケースが多いこれらのロボットは、必ずと言っていいほど人々の注目を集め、多くの人に話しかけられ、時に「可愛い!」なんて声が上がるほどです。
ロボットを取り扱う私たちキングソフトの社内でも、Lanky PortePorterがマスコットキャラクターのような存在として、社員のみんなに愛されています。見た目の可愛らしさや自由自在に動き回るロボットという珍しさ、そして人と比べるとどこか少しぎこちない喋り方などがそうさせるのか、例えロボットとのコミュニケーションがプログラミングされたものであると分かっていても、ペットや別の生き物と話をしているような感覚に陥られずにはいられないのです。
ロボットによる応対は機械的で無機質だと考えられがちですが、むしろ実際は逆で、愛嬌があって可愛らしく、そしてお客様にも喜ばれる。接客業やサービス業において、"愛嬌"という点で非常に重要な効果が期待できます。
サービスロボットの活用は切り分けが重要
場の空気を読んだり、イレギュラーに対応したりと、人だからこそできるコミュニケーションがあるのは事実です。一方で、ロボットにはロボットの良さがあるのもまた事実で、要は切り分けが重要なのです。
"人が対応した方がよい業務"、"ロボットの対応で問題ない業務"をうまく切り分けることで、互いの利点を生かしつつ、よりお客様に喜ばれるようなサービスを提供できるのではないでしょうか。
今回は「ロボットとホスピタリティ」というテーマで考察してみました。ロボットだからと言って、ホスピタリティがないわけじゃない、ということを少しでも感じていただけたなら幸いです。