飲食店で効果的に配膳ロボットを導入するまでの7つのステップ

飲食業界に従事している方の中には検討を始めているという人もいらっしゃるのではないでしょうか。とは言え、ロボットはまだまだ新しい製品で情報が少ないというのが正直なところです。
導入を検討するにも、どのようなステップを踏めばいいのか分からないという方も多いことでしょう。そこで今回は飲食店で配膳ロボットを検討・導入する上での進め方についてご紹介したいと思います。
STEP1 店舗運営の課題の精査
まず真っ先に必要なのが、店舗運営における課題の精査です。人手不足なのか、コスト効率化なのか、感染症対策なのか、販売促進なのか。これらを精査したうえで、本当に配膳ロボットが必要なのか考慮する必要があります。
この後、情報収集やロボットの選定、運用方法の検討やトライアルと、軽くないカロリーのタスクが控えていますので、「他社が入れているから」「話題だから」といった、何となくふわっとした気持ちではなく、課題ベースでしっかりと精査しておくことをおすすめします。
STEP2 情報収集&ロボットの比較検討
現状の店舗の課題を精査した結果、配膳ロボットが効果的かもしれないという結論に至ったのであれば、次は情報収集とロボットの選定です。既に配膳ロボットを展開する企業は複数社ありますが、中でも特に有力なのがソフトバンクロボティクス株式会社の「Servi」、Keenon Robotics社の「Penut」、Pudu Robotics社の「BellaBot」、そして私たちの「Lanky Porter」あたりが挙げられます。比較検討する上で、まずは上記の4社のロボットを比べれば情報の網羅性という観点では間違いないでしょう。
STEP3 ロボットの選定
当然のことながら、各社が取り扱っているロボットはそれぞれ機能や特徴が異なります。店舗の大きさや既存オペレーションとの相性などによって、合うものと合わないものがあるので、ロボットの導入・運用と店舗オペレーション改善はセットで考えたほうが良いでしょう。
STEP4 ロボットの運用方法と店舗オペレーションの構築
店舗により適したロボットの選定が済めば、次はロボットの稼働を組み込んだ新しい店舗オペレーションの構築です。店舗オペレーションの構築とは言っても、選定段階である程度は既存オペレーションとの親和性を考慮しているため、完全に0からつくるというよりかは、ロボットの動きに合わせて既存のオペレーションを修正するようなイメージです。
具体的には、焼肉食べ放題の店舗での配膳ロボットの活用を例に挙げてみます。食べ放題の焼肉屋さんと言えば、1テーブルあたりの配膳回数が多く、この配膳をロボットに任せるようなイメージです。従来の焼肉屋さんであれば、"カルビ"、"ハラミ"、"ロース"など、見分けのつきづらい各部位をスタッフが配膳する際に説明してくれることで、お客さんは届いたお肉がどこの部位の物なのかを認識しています。一方でロボットには、今運んでいるお肉がどこの部位なのかを判別する機能はないため、従来のオペレーションのままロボットに置き換えてしまうと、お客さんは届いたお肉がどこの部位なのかが分からないままお召し上がりいただくことになります。こうした点において、ロボットの動きに合わせて、お肉の部位が記載された札を作ったり、部位ごとにお皿の色を変えたりといった、オペレーションの微修正が必要となります。もちろん、ロボットが配膳を中心に行うのであれば、スタッフはオーダーや下げ膳に注力するなど、現場での動き方もロボットの運用方法に合わせてカスタマイズする必要があるでしょう。
STEP5 KPIの策定とモデル店舗でのトライアル実施
ある程度は事前に準備ができたとしても、ロボットの運用に合わせた現場のスタッフの動きについてはなかなかイメージしづらいのが正直なところ。また、導入効果などにおいても試してみないと分からない点が多くあるでしょう。そのため次のステップとしては、モデル店舗でのトライアルの実施が挙げられます。現在、いくつかの企業では、配膳ロボットの無料トライアルを実施しており、事前に検討した運用方法と店舗オペレーションの構築をベースに実際の現場で試してみることが可能です。もちろん事前に検討した運用からスタートはするものの、現場での稼働の様子を見ながら、適切な形へと適宜修正を行います。
トライアルでは適切な店舗オペレーションの策定を行うと同時に導入による効果検証も行う必要があり、のちの振り返りとなる指標が必要です。そのためSTEP1で挙げた課題の内容とSTEP4で検討したロボットの運用方法をベースとして、トライアルにおけるKPIの策定を行います。
KPIについては、事業者様ごとの課題やロボットの運用方法によって異なるため一概には言えませんが、「運用コストに対する配膳回数」や「お料理の提供スピード」、「お客様アンケートの結果」などが挙げられるのではないでしょうか。
STEP6 振り返り
実際の現場での稼働を通して、適切な運用へと適宜修正を行いつつ、トライアル終了後には、事前に設定したKPIと照らし合わせた評価を行います。もちろん、現場で稼働させてみたことで、トライアル開始前には予想もしていなかったグッドポイントやバッドポイントが出てくるケースもあり、全てが指標通りに評価すべきではないでしょう。ですが、元々配膳ロボットの導入を検討するきっかけでもある、STEP1で精査した課題解決に対して、配膳ロボットがコスト以上の成果を生むことができているのか、という点については、きちんと振り返って評価する必要があります。
STEP7 導入
トライアルを振り返った結果、KPIを達成している、または精査した課題に対する解決策として配膳ロボットが効果的であると評価することができれば、いよいよ配膳ロボットの導入となります。まずはトライアルを実施したモデル店舗と特徴が類似する店舗から導入を進めていくことで、リスクを抑えつつ導入を進めることが可能です。類似する複数店舗へと展開し、運用方法やオペレーションがきっちり固まった段階でより多くの店舗へと拡大するのがよいでしょう。