「人手不足の軽減」こそが配膳ロボット導入の最大の意義

「人手不足の軽減」こそが配膳ロボット導入の最大の意義

私たちがサービスロボットを取り扱うようになり、あらゆる業種・業界の方々からヒアリングをし、ご提案する中で気が付いたことがあります。

それは、配膳ロボット導入の最大の意義が「人手不足の軽減」であるということです。もちろん、(その他にもたくさんの意義はあります。)

「コスト効率化」

配膳ロボットLanky Porterを取り扱う中で、特にお話の機会を多く頂くことができたのは、やはりニーズが明確な飲食業界の方々でした。

飲食業界はコロナの影響をひときわ大きく受けた業界であり、配膳ロボットの導入を検討し始めた要因として、「コスト効率化」と「人手不足の軽減」を挙げられる方が殆どだったのです。

こうしたクライアント様のご要望と向き合う中で気が付いたのは、配膳ロボット単体のソリューションでは、大きくコスト効率化を実現することは難しいということです。これには大きく2つの理由があります。

・配膳ロボットでは実現しえない業務領域がある

・既に飲食店舗では人件費の効率化が実施されている

まず1つ目に関して、当然のことながら配膳ロボットがホールスタッフの全ての業務を担うことはできません。オーダーの取得やお会計などはスタッフさんの手で行う必要があります。下げ膳に関しても、食器の運搬はできても、食器をロボットに載せるための人手が必要です。

つまり、必ずどこかしらの場面で人手は必要であり、ピークタイムのホールの人員を5人→4人に効率化できても、アイドルタイムの人員を2人→1人や1人→0人のような形で効率化することはできないのです。

当然のことながら、どの時間帯もお客様が満席状態で、いずれの時間帯も4人や5人のスタッフでホールを回している、というお店は殆どなく、配膳ロボット単体の導入で削れる人件費には限界があります。

また、コスト効率化の難易度が高いもう1つの理由が、多くの飲食店舗では、既に人件費の最適化がなされている点です。特に多店舗展開しているチェーン店さんの場合、店舗ごとの売上に基づき人件費が決められている場合が殆どで、そのルールをもとにシフトが組まれているため、客数に対して必要な最小人員で運営されています。

このような店舗運営状況の中で「ロボットを1台導入して、その分人を1人減らして…」と単純な置き換えをしてしまうと、スタッフ1人分の働きを完璧にこなせるロボットでもない限り、労働力は人とロボットのスペック差分マイナスとなり、最悪の場合、店舗運営に支障をきたす場合があるでしょう。

そのため、配膳ロボットの導入による成果として「コスト効率化」を最優先に考えている方は、併せてモバイルオーダーシステムやセルフレジなどのシステム導入を検討する必要があります。ロボット単体のソリューションではなく、店舗全体のIT化によって、オーダーやレジはシステムが行い、お食事の提供はロボットが行うといった運用が実現できれば、複合的にスタッフ1人分の働きを代替することができるため、ピーク時/アイドル問わず、いずれの時間帯であっても、十分にコスト効率化の実現が可能となります。

以上で説明したような理由から、配膳ロボットのみでホールスタッフとの単純な置き換えは難しく、逆に言うと、既にモバイルオーダーなどのシステムを導入している飲食店であれば、配膳ロボットの導入によってコスト効率化が実現できる可能性は十分にあると言えるのではないでしょうか。

「人手不足の軽減」

一方で、配膳ロボット単体の導入でも十分に効果を発揮できるのが「人手不足の軽減」です。

前述した通り、配膳ロボットはオーダー取得やお会計といった業務を行うことはできません。ですが、お料理の提供や中間バッシング、下げ膳のサポートなどは十分に行うことができます。そのため、これらの移動を伴う業務をロボットに任せることで、浮いた時間にスタッフさんは他の作業を行うなど、少ない人手であっても店舗を運営するサポートは行えます。

実際に飲食店のホール業務では、店舗の規模にもよって異なりますが、1日1人当たり10,000歩以上歩くとも言われており、これらを配膳ロボットに任せられるだけで店舗の業務負荷は改善され、特にギリギリのシフトの際などには、円滑な店舗運営に大きく貢献します。

また、新型コロナウイルスによる時短営業や休業などで、営業時間が不安定な飲食業界は、アルバイトスタッフが集まりづらい状況が続いており、こうした状況において、充電さえしておけば常に稼働することができる配膳ロボットの存在は、人手不足の軽減に大いに役立つでしょう。

来客予想という観点でも、コロナ前と現在ではお客さんの数や、ピーク時間帯などの予測が立てづらくなっており、こうした状況においても常に稼働することができる配膳ロボットはとても有用だと言えるのではないでしょうか。

その他の配膳ロボットの意義

その他、「非接触による感染症対策」や「飲食店における回転率向上とそれに伴う売上の拡大」、「集客・販促効果」なども、間違いなく配膳ロボット導入の大きな意義でしょう。

これらは導入を決定づける主要因にはなり得ないかもしれませんが、実際に当社のLanky Porterを導入した店舗アンケートによると、約90%の人が「非接触でのお食事に安心感を覚える」と回答しており、こうした安心感がリピートへと繋がると考えられます。

また、ピーク時にウエイトがかかるような人気店の場合、配膳ロボットをバッシング特化で活用し、テーブルセットの時間を短縮することで、1時間当たりに対応できるお客様の数を増やし、売り上げの向上へとつなげることも考えられます。

これらは全て配膳ロボット導入の意義であり、メリットと言えるでしょう。しかし、集客効果やお客様満足度の向上といった数値化の難しい不確定なものよりも、より明確な人手不足の軽減こそが配膳ロボット導入の最大の意義だと感じます。

もし、飲食店を運営されている方で、人手不足にお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お気軽にご相談いただければと思います。

そこで、今回は「配膳ロボット導入の意義」をテーマに、より掘り下げて考えていきたいと思います。