飲食店における配膳ロボット導入の費用対効果について考える

飲食店における配膳ロボット導入の費用対効果について考える

Lanky Porterのお問い合わせやトライアル時によく言われることが、"配膳ロボット導入による費用対効果"についてです。"月々の運用費用以上の効果が得られるのか"ということは、検討にあたって最も重要な要素ですので、これは至極当然のことでしょう。そこで今回は飲食店での配膳ロボットの導入を検討するに際して、どの程度、そしてどのような効果が生み出せるのかについて考えてみたいと思います。

前提として、ロボットに人1人分の働きはできない

前提として配膳ロボットがスタッフ1人分の働きを完全に担うことはできません。飲食現場において業務領域の被るホールスタッフと比べてみると、スタッフは座席案内、オーダリング、配膳、バッシング、テーブルセット、お会計など、多岐にわたる業務をこなします。一方で、私たちが取り扱う配膳ロボットのLanky Porterの場合、できることは案内と配膳、そしてバッシングの3つのみ。つまり、ロボットは完全な人1人分としてはカウントすることができません。

そのため、ロボットの効果を最大化させるためには、"ロボットに何をさせるのか"といった運用方法や、"ロボットの動きに合わせてスタッフがどう動くのか"といったオペレーションの構築が必要不可欠となります。具体的には、配膳業務は全てロボットが担い、スタッフがそれ以外の業務にフォーカスすることで、少ない人員での店舗運営を可能にする。下げ膳を全てロボットが担うことで、最終のバッシングにかかる時間を短縮し、店舗の回転率を上げる。もちろん店舗ごとの特徴に合わせて運用方法やオペレーションは異なりますが、配膳ロボットを効果的に導入するためには、前述したようなスタッフとロボットの業務の切り分けが非常に重要になります。

そしてこのような要因から、ホールスタッフが1名や2名で回しているような席数の少ないお店の場合、ロボットはアドオンにしかならず、むしろ大きい店舗こそが配膳ロボットの稼働に向いていると言えるでしょう。

1日あたり2時間分のスタッフの人件費を削減できるかどうか

費用対効果を考える上で最もイメージしやすいのが、下記の数式です。

・配膳ロボットの導入費<削減できた人件費

ロボットの導入費以上に人件費を削減することができれば、十分にロボットを導入する意義を見出すことができるかと思います。そしてこれを具体的な数値に落とし込むと、私たちのLanky Porterの場合、1日当たり2時間分の人件費削減が実現できれば、メリットが生まれる形となります。お店の広さやオペレーションによって配置される人員は異なりますが、アイドルタイムだろうがピークタイムだろうが、2時間分削減できる可能性があるのであれば、十分に配膳ロボットを検討する余地があると言えるでしょう。

平均客単価の増加

ロボットの導入費用分、売上を増加させるといった視点でも考えることができます。その場合、下記のような数式となります。

・ロボットの有無による平均客単価の増減金額×1日の平均来店人数

分かりやすく言い換えると、ロボットがいることでオーダー数が伸び、その伸びた分の売上がロボットの運用費用を上回れば、十分に導入の意義が見出せるという考え方です。そしてこれを具体的な数値に落とし込むと、仮に原価率30%、1日の平均来店者数が100人のお店の場合、40円分平均客単価を上昇させることができれば、配膳ロボットを導入するメリットが生まれる形となります。

客単価上昇幅×1日の平均来店数×営業日数×原価率

=40円×100人×30日×0.7=84,000円

そして配膳ロボットの導入によって客単価を伸ばしやすい店舗の特徴は家族連れで訪れることの多い、郊外型の店舗やファミリーレストランなどが挙げられます。これまでのトライアルの傾向から、特に配膳ロボットは子供たちからの人気が高く、ロボットがお料理を運んでくるところを見たいという理由から、追加で一品をオーダーをする家族連れのお客様が多数いらっしゃいました。

また、販促のアプローチとしては、Lanky Porterの場合、頭部ディスプレイに画像や動画を投影し、音声でおすすめをしながら店内を動き回ることができます。そのため、売り出したい商品をプッシュしたり、プラスワンのご注文のおすすめをしたりしながら、客席を巡回することで、平均客単価の増加へと寄与するアプローチも可能です。

その他の期待できる効果

数字には見えづらいものの、配膳ロボットの導入によって期待できる効果はまだまだたくさんあります。お料理の提供スピードUPなどはその1つでしょう。オーダー、お会計などの時間のかかるタスクを行っている際にお料理が出来上がってしまった場合、お客様へのお料理の提供スピードが遅くなってしまうことで、せっかくの出来立てが冷めてしまうといった懸念があります。こうした懸念に対して、配膳ロボットが配膳にフォーカスをして店内を稼働していることで、お客様へのお料理の提供スピードを速め、ひいてはお客様満足度の向上へとつながることも考えられるでしょう。

また、コロナ禍以降に有用な点も期待できる効果の1つです。配膳、下げ膳などの際に対面での接触機会が削減できることから、来店するお客様が安心感を持ってお食事を楽しむことができるようになります。

これらの利点は横断的に検討することができる

今回ご紹介した配膳ロボット導入によって期待できる効果は、どれも共存して検討することが可能です。人件費を減らせる時間帯については、コスト削減を図りつつ、同時に客単価を増やす取り組みも行う。その中で副次的な効果として、お料理の提供スピードのUPやコロナ対策、そしてそれらがお客様満足度の向上へと繋がります。

配膳ロボットの導入費用を純粋なコスト削減幅だけで考えるのではなく、コスト削減幅+売上の伸び率、そしてお客様満足度の向上に伴う店舗へのリピート率など、横断的に検討すれば、ロボットの導入にかかる費用以上に効果が得られるのではないかと考えています。